建設プロセスの情報と3次元CADを統合する「IFC」とは
【第2回】IFCの開発メンバーには、建設業をよくしたいという理想がある

建設プロセスの情報と3次元CADの機能を統合した「IFC」という国際的なデータ規格に注目が集まっています。日本では1996年以来、IAI日本がIFCの開発を行っていますが、長年、地道な開発作業を続けるのは並大抵のことではありません。そこには、ビジネスだけではなく、“ボランティア精神”も必要になってきます。その現状について、IAI 日本技術統合委員長の太田孝和氏にお聞きします。

―――IAI日本でIFCの規格を開発する作業は、どのような組織で行っているのでしょうか。

太田 技術的な開発作業は、専門の分科会に分かれて行っています。まず、全体の作業をとりまとめるのが「技術統合委員会」です。ここでは各分科会の動きをコントロールするとともに、ISOなどの指針チェックを行っています。メンバーは、建設会社やソフトベンダーが多いですね。

専門分科会は意匠、構造、設備などがあり、それぞれ7〜8人のメンバーで活動しています。

―――具体的に、どんな分科会でどのような活動を行っているのですか。

太田 まず、「意匠分科会」では3次元CADの高度利活用について、(財)建設業振興基金の設計製造情報化評議会(C-CADEC)と共同で検討を行なっています。

例えば、3次元CAD上の各部材に属性情報を持たせて仕上げ表を作るとき、属性を持たす方法を壁単位にするか、部屋単位にするか、といった問題を議論しています。

また、「構造分科会」というのもありまして、鉄筋コンクリート構造の仕様を表現するためのモデル化の方法や属性情報について検討しています。これは、日本発のプロジェクトとして、検討成果は世界のIAIに提案し、公式に認められて最新のIFC仕様の中に含まれるようになりました。

それから「設備FM分科会」というのもあります。ここではCADデータ交換形式の「SXF」に属性情報を持たせて、IFC形式に変換するコンバータの開発などを行っています。

―――建築関係の分科会が多いようですが、土木はどうですか。

太田 はい、「土木分科会」というもあり、橋やシールドトンネルなどのモデル化について検討しています。

また、「技術検討分科会」というのもあります。これは、外部からIFCやIAIについて説明してほしいといった要望がきた場合などに、技術的なレクチャーなどを行うのが主な役目です。

―――これらの分科会では、それぞれの分野の専用CADデータ規格を実際に作っているのですか。

太田 いいえ、それぞれの構造物、つまりオブジェクトをどのようなルールで表現するかというコンセプトを検討しているだけで、CADソフトなど、実際のソフトウエアに実装するための技術開発は、「インプリメンテーション分科会」というところで行っています。

―――こう言うと失礼ですが、大変な作業な割には、すぐに製品化やソフトの実務での活用によって利益を得るのは難しいように思います。分科会のメンバーは、どのようなスタンスで参加しているのでしょうか。

太田 分科会に参加するにはまず、所属企業や団体がIAI日本の会員になる必要があります。年会費は1社10万円です。その上で分科会の活動を行い、時には会議室も提供してもらったりしていますから、短期的な利益を求めるビジネスライクの発想だと、続けられないでしょうね。

分科会のメンバーの心には、「IFCを普及させることによって建設業をよくしたい」という理想があり、それが活動を持続させるエネルギーになっていると思います。ある意味、「企業内個人」的な熱意を持った人たちが多いですね。所属会社からの業務命令だけでは、なかなか続かないと思います。

(イエイリ建設ITラボ 第2回掲載)