建設プロセスの情報と3次元CADを統合する「IFC」とは
【第1回】3次元CADの国際規格「IFC」とは何か?

建設業界での3次元CAD活用が普及するのに伴い、建設プロセスの情報と3次元CADの機能を統合した「IFC」という国際的なデータ規格に注目が集まっています。今月のマンスリーレポートは、日本におけるIFCの開発を1996年以来、10年間にわたって行っているIAI日本の“技術の屋台骨”とも言える技術統合委員長の太田孝和氏に、IFCの実用化動向や今後の可能性についてお聞きします。

―――最近、シンガポール政府の建築確認申請の電子納品システムや、3次元CADのデータから構造計算を行うシステムなどで、「IFC」という3次元CADのデータ形式が使われていることをよく耳にするようになりましたが、どんな目的で開発されているのでしょうか。

太田 建築物の図面をCADで描くとき、長方形や円弧などの図形を使って描きます。この図形にそれぞれ「壁」とか「窓」とかの意味、すなわち属性情報を持たせることにより、設計、見積もり、施工と、システム間でデータを連結し、2重入力を防ぎ、効率的な建設が行えるようにするために考え出されたのが「IFC」というデータの規格です。

最近、「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」や「バーチャル・ビルディング」といった言葉がCADの世界でよく使われていますが、これらと同じコンセプトと考えていいでしょう。BIM手法で作成したバーチャル・ビルディングのデータを異なるアプリケーション間で連携する場合にIFCが登場する、ということになります。現在、IFCには「buildingSMART」というブランド名をつけて展開しています。

IFCのいろいろな規格を開発しているのが「IAI」という国際的な組織です。我々、IAI日本は、日本の支部であり、1996年に発足しました。国際間で規格作りなどを分担して行っています。現在の会員数は75社で、内訳は企業が57社、学校・研究機関が18機関です。

会員の業種は、ゼネコン、サブコン、メーカ、設計事務所、ソフト会社などです。

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国際組織IAIの支部

―――IFC形式でデータ読み書きできる3次元CADソフトは、どんな製品が市販されていますか。

太田 外資系のCADメーカーの製品が多いですね。例えば、オートデスクのAutodesk Revit Buildingや、ベントレー・システムズのBentleyArchitecture、グラフィソフトのArchiCADなどですね。

我々の狙いは、ソフトの種類を問わず、建設プロセスで使われる属性情報を含んだ3次元データを交換できるようにしようというものです。

3次元CADだけでなく、構造計算や数量計算、積算・見積もり、ファシリティ・マネジメントなど、建設プロセスで使われるソフトウエアやシステム全体で使えるようにすれば、建設業界の実務は画期的に効率化されるでしょう。

―――CADソフト以外でも、IFCに対応したソフトはありますか。

太田 日本の製品はありませんが、海外にはあります。例えば、構造計算ソフトでは北欧のメーカーが発売している「TEKRA」や「StruSoft」、アメリカの「SAP2000」、ドイツの「SOFiSTiK」や「BOCAD」などがあります。鉄骨構造データの標準であるCIS/2とIFCの連携が海外で注目されています。

設備系CADでは北欧のDDS社、Progman社が積極的にIFC対応に動いており、環境設計シミュレーションでは北欧のOlofGranlund社、アメリカのEnergyPlusなどが有名です。NavisWorks社の3次元レビューツールや、フィンランドのSolibri社のIFCモデルチェッカーというような、新しい分野のアプリケーションも出てきています。

また、フリーのIFCデータの形状を表示するビューワ、GISソフトやGoogle Earthへのコンバーターなども出てきています。

―――IFCは現在、どれくらいの実用化されていますか。

太田 形状が特殊でない、普通の建築物については、既にIFCで建築モデルを作れる水準まできています。建物全体では7〜8割くらいでしょうか。

世の中の建物の8〜9割は標準的な構造で、そのうち7〜8割の部材をIFCで表現できるという感じですね。

例えばシンガポール政府は、2004年から建築確認申請を3次元CADデータ(IFC)によって自動化を行う「e-PlanCheck」というシステムの実用化を進めています。

(イエイリ建設ITラボ 第1回掲載)